鹿児島で災害に強い注文住宅を建てるコツを紹介
2024.01.30鹿児島で快適かつ安全な生活を送るためには、災害に強い注文住宅の建設が不可欠です。この地域は台風、豪雨、地震などの自然災害が頻繁に発生するため、住宅はそれらに対応できるよう計画されるべきです。安全で快適な住まいを実現するために、鹿児島での注文住宅建設におけるコツをご紹介します。
鹿児島で気をつけるのは、台風、豪雨、地震の3大災害
鹿児島で注文住宅を建てる際、考えておきたいのが災害についてです。ここでは、鹿児島で起こり得る台風、豪雨、地震の災害について触れていきます。
◇台風の上陸回数が日本一で、豪雨にもなりやすい
鹿児島県は、日本国内で最も多くの台風が上陸する地域です。台風の上陸とは、台風の中心が本州、九州、四国、または北海道のいずれかの海岸線に到達する状態を指します。鹿児島は九州の最南端に位置するため、台風が上陸しやすいのです。したがって、鹿児島は台風の通過経路になりやすい傾向があります。
さらに、台風に伴う激しい雨による豪雨被害も多いです。2019年には、鹿児島県南さつま市の大王川で堤防が決壊し、広範囲にわたる浸水被害を引き起こした「九州南部大雨」が発生しました。
鹿児島は、急峻なシラス台地や、火山灰や軽石が堆積した地層など、土砂災害が発生しやすい地形と地質であることも特徴です。したがって、家を建てる際にはこれらの要因を考慮する必要があります。
◇地震の発生回数も日本一の鹿児島
気象庁のデータをもとにした「2021年に地震が多かった都道府県ランキング」によると、2021年に地震の発生回数が最も多かったのは鹿児島県。2021年には震度1以上の地震が合計718回も観測されました。特に2021年は、トカラ列島近海で地震が頻発しており、そのため回数が大幅に増加したことが分かります。
また、過去100年間の1922年から2021年までの鹿児島県での震度5以上の地震発生回数は22回です。南海トラフで巨大地震が発生した場合、揺れだけでなく津波なども甚大な影響を及ぼす可能性が高いため、高い防災意識が維持される必要があります。
災害に強い家とはどんな家かを紹介
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鹿児島は自然災害に見舞われやすい地域であるということがわかりました。では鹿児島で注文住宅を建てる場合に考慮すべきことは何か、鹿児島で起きる可能性が高い自然災害ごとに解説します。
◇台風に強い家とはどんな家
台風による屋根の飛散は、軒下に風が侵入し、下から屋根を巻き上げることが原因です。軒下は風が集中しやすく、逃げ場が限られるため、風が下から上に向けて力をかけやすくなります。住宅は通常、上からかかる重力に対して強固に設計されていますが、台風の多い地域では下からの力にも対策が必要です。
ひとつの対策として、風のたまり場となる軒下を取り払うことが考えられます。屋根の面の数が多いほど風の流れが作りやすく、強風に強くなるのです。逆に、一方向にしか傾斜がない場合、風の影響を受けやすくなります。
建物を引き抜く「引き抜く力」にも注意が必要です。丈夫な柱や構造でも基礎から引き抜かれる可能性があります。外壁や窓、サッシの強度も考慮し、施工業者と相談しながら風対策を行うことが大切です。また、外壁材の選定や風対策においてもデザイン性と強度のバランスを取る必要があります。
◇豪雨に強い家とはどんな家
豪雨から家を守るためには、家の位置を高くすること、床下浸水と床上浸水への対策、水密性の向上などが重要です。具体的な方法には、盛り土や高床式の住宅建設、防水壁の設置、外壁や窓の水密性向上が含まれます。また、コンセントや家電機器の配置、建物内の階段や踊り場の設計も床上浸水の被害を軽減するために考慮しましょう。特に天窓やルーフバルコニーの設計には注意が必要で、施工前にリスクを評価し、適切な対策を施すことが大切です。
◇地震に強い家とはどんな家
地盤の強度は耐震性の高い家を建てる上で非常に重要になります。地盤の強度を確認するためには地盤調査が必要であり、必要に応じて地盤改良を行うことが必要です。ただし、地盤改良は追加費用がかかるため、土地選びの際に地盤の状況を考慮しましょう。
基礎工事も耐震性に影響を与えます。ベタ基礎と布基礎の2つの方法があり、ベタ基礎は大きな面で建物を支えるため、耐震性が高いとされますが、コストが高いという点がデメリットです。地盤の状況や予算に応じて基礎工事の方法を選択することが重要になります。
新築住宅は最新の耐震基準を満たすことが必要です。これらの基準は地震に強い家を実現するために設けられています。木造住宅の場合、新耐震基準を達成するには追加の対策が必要です。これが費用を増やす要因となります。
間取りにおいても地震に強い家を実現するためのポイントがあり、平屋のほうが一般的に地震に強いとされていますが、二階建ての場合でも大雨対策への考慮が必要です。また、家の形状も地震に強さに影響を与えます。整った四角形に近い形状が地震に強く、複雑な形状は揺れエネルギーを集中させやすいため、家の形状も考慮に入れるべきです。
建設予定地がどれだけ災害強いかあらかじめ知っておこう
どのような家を建てるかだけでなく、建築予定の土地がどれだけ災害に強いか知っておくとこも大切になります。ここでは、ハザードマップポータルサイトと地盤サポートマップについてご紹介します。
◇ハザードマップポータルサイト
「国土交通省 ハザードマップポータルサイト」は、国土交通省が提供するウェブサイトで、各自治体のハザードマップを閲覧できるサービスです。スマートフォンでも簡単に操作でき、興味のある地域を選択するだけで関連情報を表示できます。さらに、「わがまちハザードマップを選ぶ」というオプションを選ぶことで、各市町村の公開ハザードマップへのアクセスが瞬時に可能です。自治体の問い合わせ先も提供されています。このサイトは、災害情報の入手や防災対策に役立つ貴重な情報源です。
◇地盤サポートマップ
「地盤サポートマップ」は、地盤に関する情報を簡単に確認できるウェブサイトで、ユーザーは住所を入力し、興味のある項目をクリックします。すると、地盤の強さが「強い」「やや強い」「ふつう」「弱い」の4段階で視覚的に表示されます。また、鹿児島市中心部の地図を表示し、「地耐力」に焦点を当てた画像を見ることも可能です。
このウェブサイトでは地盤の強さだけでなく、土地の起源、地震時の振動特性、歴史的地図情報、液状化のリスクなど、さまざまな関連情報も簡単にアクセスできます。地盤に関する重要なデータを手軽に入手できるため、不動産取引や建設プロジェクトの計画段階で役立つでしょう。
鹿児島での注文住宅建設に際し、3つの主要な自然災害である台風、豪雨、地震に対する対策が不可欠です。鹿児島は台風の上陸回数が日本一であり、台風やその伴う豪雨が頻繁に発生します。特に地形と地質の特性から土砂災害のリスクが高まります。
また、鹿児島は地震の発生回数も日本一で、2021年には地震が718回も観測されました。南海トラフ地震など、大規模な地震に備える必要があります。
災害に強い家を建てるために、台風に対する対策としては、風の影響を受けにくい屋根設計や耐風性の強い外壁材の選定が必要です。豪雨対策としては、高床式の住宅や水密性の向上などが必要で、地盤調査や地盤改良が地震対策に不可欠です。
建設予定地の災害リスクも考慮し、ハザードマップポータルサイトや地盤サポートマップを活用して、土地の安全性を確認することが大切です。地盤情報や地域の防災情報を正確に把握し、災害に備えた住宅建設を行うことが鹿児島での注文住宅建設において重要です。